アクアリウム制作の記録(佃島小学校様)
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佃島小学校へアクアリウムを設置しました!
2月28日、佃島小学校へアクアリウムを設置(せっち)する日です。
都内(とない)で開催(かいさい)されるマラソン大会(たいかい)と同日(どうじつ)でした。
マラソン大会は去年(きょねん)と同様(どうよう)、冷たい雨が降る(ふ・る)なかでの開催(かいさい)でした。
また、前日の2月27日に発生した(はっせい・した)マグニチュード8.8のチリ地震(じしん)の影響(えいきょう)で、ちょうどアクアリウム搬入 (はんにゅう)の時間帯(じかん・たい)に津波(つなみ)が関東沿岸部(かんとう・えんがんぶ)に到達(とうたつ)すると言う警報(けいほう)も出ていま した。
佃島小学校の周辺(しゅうへん)も、水門(すいもん)を閉めたり、防潮壁(ぼうちょうへき)を閉鎖(へいさ)したりと警戒態勢(けいかい・たいせい)がとられていました。
そのような中での設置作業でしたが、設置の予定時刻(よてい・じこく)が近づくにつれ、空からは雨雲(あまぐも)が無くなり、暖かな(あたた・かな)日差し(ひざ・し)が出てきて、心配されていた津波も大きな被害(ひがい)にはなりませんでした!
午前中に多摩センターのアクアズームを出発(しゅっぱつ)したアクアリウムが到着(とうちゃく)し、いよいよ設置作業(せっち・さぎょう)です。
都内(とない)の交通渋滞(こうつう・じゅうたい)を考慮(こうりょ)し早めに出発したので、予定通り(どお・り)の時刻に作業が始まりました。
- アクアリウムの設置作業
アクアリウム運搬(うんぱん)には、高い技術(ぎじゅつ)と豊富な(ほうふ・な)経験(けいけん)が必要なため、アクアズーム専門(せんもん)の担当(たんとう)スタッフが決まっています。
今回の設置も、とても手際(てぎわ)の良い作業です。
重たいアクアリウムの搬入(はんにゅう)も、安心して見守ることができます。
アクアリウム、特にオープンアクアリウム(Open Aquarium)は、ミリメートル単位(たんい)で水平(すいへい)に設置することが求められます。少しでも傾いて(かたむ・いて)いると、とても目立ってしまうからです。
また、今回使用している90サイズのアクアリウムに水を入れると100kgを超える重さになります。
傾いた状態のままだと設置台が歪んで(ゆが・んで)しまい、扉(とびら)が開かなくなったり、壊れ(こわ・れ)やすくなったりしてしまいます。
ですので、水平をとる作業はとても大切なのです。
水平器(すいへいき)、または水準器(すいじゅんき)と呼ばれる専用(せんよう)の定規(じょうぎ)を使って、水平になるように高さを調節(ちょうせつ)します。
設置台の下に、厚さ(あつ・さ)の異なる(こと・なる)金属(きんぞく)の板(いた)を何枚(なんまい)も入れて、高さ合わせを行います。
- アクアリウムに水を入れる作業
次は、水を入れる作業を行います。
アクアズームのアクアリウムで使用する水は、蛇口(じゃぐち)から出てくる水道水(すいどう・すい)とは違います。
水道水をそのまま使ってしまうと、魚や水草にとってとても息苦しい(いきぐる・しい)環境(かんきょう)になってしまいます。
自然(しぜん)の中の水は、人間(にんげん)の目には見えない微生物(びせいぶつ)がたくさん生息(せいそく)していて、水中(すいちゅう)の生物(せいぶつ)は互い(たが・い)に助け合って(たす・け あ・って)生きているからです。
ですので、きれいな川や湖にある自然の水に近いものに調整した専用の水を、アクアズームから運んできました。
中に生息する魚や水草たちがもともと住んでいた、南米(なんべい)の熱帯域(ねったい・いき)と同じ環境(かんきょう)の弱酸性(じゃく・さんせい)にpH値(ピーエッチ・ち/ペーハー・ち)を合わせています。
※ pH値(英語:ピーエッチ・ち/ドイツ語:ペーハー・ち)
水素イオン指数(すいそ イオン しすう)、または水素イオン濃度指数(のうど・しすう)をあらわす単位です。物質(ぶっしつ)の酸性(さんせい)、アルカリ性の度合い(どあ・い)を示す数値(すうち)で、値が小さくなるほど酸性、大きくなるほどアルカリ性となり、pH=7が中性とされています。
pHはpotential Hydrogen、またはpower of Hydrogenの略称です。
アクアリウム業界ではドイツ語読みで「ペーハー・ち」と言いますが、学校の授業では英語読みの「ピーエッチ・ち」と覚えてください。
- 魚やエビたちを放す作業(水合わせ)
水を入れ終わると、次に熱帯魚(ねったいぎょ)やエビたちを入れる作業です。
いきなり水槽の中に入れてしまうと、水温が違うのでびっくりしてしまいます。中にはそのまま弱ってしまうものも出てくるので、まず、魚たちを袋のまま水槽に浮かべます。
そうして、水温に慣らした(な・らした)後に水槽の中へ放します。
この作業は「水合わせ(みず あ・わせ)」というものです。学校でいうと入学式のようなものでしょうか。
入ったばかりの魚たちは、見慣れ(みな・れ)ない景色(けしき)に少し戸惑って(とまど・って)いるようでした。
キョロキョロしたり、ウロウロしたりしています。
中には、勢い(いきお・い)あまって水槽の外に飛び出してしまうものもいますが、徐々(じょじょ)に慣れてくれます。
自分たちの好きな場所や、住処(すみか)を探して(さが・して)いるようです。
水草の陰(かげ)が好きな魚、水が湧き出して(わ・き だ・して)いるところが好きな魚、波打ち際(なみう・ち ぎわ)が好きなエビ、水温の高い部分が好きな熱帯魚など、それぞれの居心地(いごこち)の良い場所に落ち着いてくれました。
アクアテラリウム(Aqua-Terrarium) という、陸上部分(りくじょう ぶぶん)を有したアクアリウムなので、元気なエビの中には、水から上がって陸を歩き出すものも出てきました。
そのうち、みんな楽しそうにアクアリウムの中を泳ぎまわるようになりましたよ。
先生、PTA役員の皆さんに、餌のやり方や水の交換方法など、日々のお世話の方法を説明しました。
最後に集まっていただいた皆さんと一緒に、記念写真をパチリ
生徒の皆さんが、アクアリウムを通して命の大切さやすばらしさ、自然の美しさと優しい気持ちになれる”癒し”を体験できるよう、これからも一緒に、魚や水草たちのお世話をしていきましょう。
『佃島小学校に通う皆さんの思い出に残るアクアリウムになる』
それがアクアリウムを寄贈(きぞう)される佃島小PTAの皆様、水槽作家 三浦達雄(すいそうさっか みうらたつお)とアクアズーム スタッフ一同の願いです。
これから卒業する6年生の皆さんも、何年か経って(た・って)
「あのアクアリウムはどうなっているかな?」
と見にきたとき、AquaZooMのアクアリウムはきっと待っていてくれます。
SPECIAL THANKS!
アクアリウム設置にあたり、PTAの皆様、先生方々、ご協力頂いた全ての皆様に御礼申し上げます。
2010/02/28 小さな地球を創ろう!水槽作家 三浦達雄のアクアリウム アクアズーム AquaZooM
アクアテラリウムの制作 熱帯魚水槽 生態観察用アクアリウム
https://aquazoom.org/
水槽に水を入れ、水草を植えました。いよいよアクアリウムの完成です!
アクを抜くため、水を何度(なんど)も入れ替え(いれかえ)少し落ち着いたところで、水草を植えました。
アクアリウムの見た目はほぼ完成(かんせい)していますが、バクテリアや水質(すいしつ)の安定(あんてい)など、目に見えない部分(ぶぶん)の完成までにあと2~3ヶ月かかります。
設置後(せっち・ご)も、最初(さいしょ)のうちは頻繁(ひんぱん)に訪問(ほうもん)して、生態系(せいたいけい)が安定(あんてい)するまで見守り(みまもり)ます。
今回のアクアリウムは、海の様子を出すために、波打つ水面や波打ち際の砂浜を表現しています。水槽設置までお楽しみにお待ちください。
2/28(日)設置の予定です!
今回のアクアリウムの魚たち・水草・植物
陸上部の植物
- オキナゴケ(シラガゴケ科)
- リュウノヒゲ
- アイビー
- ポリシャス(タイワンモミジ)
- セイヨウシダ
- アラレア
- ヒポエステス
- ガジュマル
- カエルノアシ
- サンパウロ・グラス
- マスデバリア
- レウイシア
水草
- エキノドルス・ホレマニー・レッド
- アヌビアス・ナナ
- ベトナム・スプラウト
- ミクロソリウム・ウェンディロブ
- ボルビティス
- ラージリーフ・ハイグロフィラ
- ウォーターバコパ
- ウィローモス(南米品種)
- パールグラス
- ピグミーチェン・サジタリア
- ハイグロフィラ・ロザエネルヴィス
- ネグロ・ドワーフニムファ
- 斑入りウィステリア
- チェコロタラ
- ドリマリア・コルダータ
- ミズネコノオ
- ウォーターローン
- スクリューバリスネリア
- パンタナル・クリスパ・レッド
- ニューオランダプラント
- ロタラレッドナローリーフ
- ミクロソリウム・ナローリーフ
- スリーテンプル
- スリランカ・ハゴケ
魚たち
- オトシンクルス
- コリドラス・ジュリィ
- コリドラス・パンダ
- ヤマトヌマエビ
- ヌカエビ
- ミナミヌマエビ・レッド
- ブルーアイラスボラ
- ラスボラ・エスベイ
- カージナル・テトラ
- ハニードワーフグラミィ
2010/02/22 アクアズーム AquaZooM 小さな地球を創ろう!
三浦達雄の創作水槽 オープンアクアリウム
富士山を作成 ろ過システム・冷却システムの追加
水槽(すいそう)の背景(はいけい)に、富士山(ふじさん)を作成(さくせい)しました。
アクアリウムの完成図(かんせいず)に想像(そうぞう)を膨らませて(ふく・らませて)いるうちに、どうしても富士山(ふじさん)を表現(ひょうげん)したくなったのです。
アクアリウムが完成したときは、水面(みなも)に映る(うつ・る)逆さ富士(さかさふじ)も楽しめることでしょう。
また、設置場所(せっち・ばしょ)を考慮(こうりょ)してろ過(ろか)システムと冷却(れいきゃく)システムを強化(きょうか)しました。
ろ過フィルタやシステム内の温度(おんど)が一定(いってい)の数値(すうち)を超える(こ・える)と、自動的(じどうてきに)にサーモスタットが作動(さどう)して、ろ過システムを冷やして(ひ・やして)くれます。
停電(ていでん)やコンセントの脱落(だつらく)などのトラブルがない限り(かぎ・り)は、全自動(ぜんじどう)で温度調節(おんど・ちょうせつ)とろ過を行ってくれます。
サーモスタットについて
サーモスタット(thermostat)はシステム内部に流入、あるいは外部に放散される熱エネルギーの流れを制御することにより、システムの温度を一定に保とうとする働きをおこなう仕組みです。
熱くなる ←冷やそうとする働き
冷たくなる ←温めようとする働き
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システムの温度を一定に保つ
サーモスタットは適切な温度を維持するために、必要に応じて加熱あるいは冷却装置の作動および停止の切り替えを行います。
サーモスタットは様々な方法で構築することが可能で、温度の測定には様々な検知器が使用されます。検知器から出力された信号により、加温装置や冷却装置を制御します。
■ サーモスタットの例
- バイメタルや形状記憶合金による機械式検知
- ワックス粒の膨張
- サーミスタによる電気式検知
- 熱電対による電気式検知
これらにより、以下の手段を介して加熱・冷却装置が制御される。
- 直接的な機械的動作
- 電気信号
- 空気式信号
今回のアクアリウムでは、サーミスタ(thermistor)による電気センサーと冷却ファンやヒーターを作動させる機械的動作、電気信号方式を組み合わせています。
※ 参考資料 Wikipedia
2010/02/10 アクアズーム AquaZooM 小さな地球を創ろう! 三浦達雄の創作水槽
水槽の背景を作成
水槽(すいそう)の背景(はいけい)を貼り付け(はりつけ)ました。
通常(つうじょう)は真っ黒のスクリーンを貼る事が多いのですが、今回は隅田川や佃島周辺の風景を再現するため、青色のスクリーンに挑戦(ちょうせん)します。
二酸化炭素供給用(にさんかたんそ・きょうきゅうよう)のボンベも本日(ほんじつ)、設置台(せっち・だい)の中に配置しました。
少しずつ作品のイメージが頭の中でまとまってきました。とてもワクワクしています!
2010/01/30 アクアズーム 三浦達雄のアクアリウム 創作水槽
高透過ガラスの特注水槽が到着 配線やタイマー設置
[写真]水槽が到着、制作開始です!
高さ350mmの水槽(すいそう)です。顕微鏡(けんびきょう)で見たとき、表面(ひょうめん)の凹凸(おうとつ)が少ない、高透過(こう・とう か)ガラスでつくられています。普通のガラスだと、表面の凹凸が非常(ひじょう)に多く、そこにコケや藻(も)が溜(た)まり、透明度(とうめい・ど)が 徐々(じょじょ)に失われていきます。
アクアズームで使用する水槽は、全てこの高透過ガラスでつくられています。
[写真]ドアポケットに簡易説明書とトリミング用のハサミとピンセット連絡ノートを入れられます
水槽の循環用(じゅんかん・よう)モーターや、照明(しょうめい)は設置台(せっち・だい)の中のタイマーやサーモスタットで制御(せいぎょ)されています。
アクアリウム制作(せいさく)の始めは、電気工(でんきこう)や大工仕事(だいく・しごと)のような作業が多いです。
設置台も全て手づくりです。ウォルナット色の鏡面仕上(きょうめん・しあ)げにしました。
2010/01/29 アクアズーム 三浦達雄のアクアリウム 創作水槽
いよいよ特注の高透過ガラスの水槽が到着します
明日(1/29)、特注(とくちゅう)の高透過(こう・とうか)ガラスの水槽(すいそう)が到着(とうちゃく)し、アクアリウムの制作(せいさく)がスタートします。
子どもたちの喜ぶ顔を思い浮かべながら、制作していきます。
設置台(せっち・だい)や、配管(はいかん)、照明(しょうめい)などのタイマーの取り付けは、ほぼ完了しています。
2010/01/28 アクアズーム 三浦達雄のアクアリウム 創作水槽
アクアリウムの制作が決定しました
1月15日、佃島小学校 PTA役員会にて、アクアリウムの制作をご依頼頂くことが決定しました。
3月の卒業式に間に合うよう、かなり急ピッチの制作となります。
即日、特注水槽のオーダーを出しました。
※ 通常は生態系の安定のため、3ヶ月から4ヶ月、納品までにお時間を頂いています
[写真]右から、校長先生、PTA会長、アクアズーム主宰 三浦
PTA役員会では、各学年各クラスの役員の皆様から、様々なご質問を頂きました。
その一部を紹介致します。
ご質問: どのようなコンセプトでアクアリウムを制作するのですか?
三浦の回答: 佃島はかつて、徳川家康公が関東下降の際、摂津国佃村(現在の大阪府大阪市西淀川区佃)の漁夫33人が江戸に移り、百間四方の土地を埋め立てて築島し永住することになり、その島を故郷にちなんで「佃」と名付けたことから始まる、と聞いています。
この様な歴史背景、現在の先進的なリバーシティへの変遷、そしてかつての隅田川の生態を考慮しながら、汽水域の生態に近い淡水環境の生体を配置していきます。
また、手を触れてはいけない芸術作品としてではなく、子どもたちには水槽の中にどんどん手を入れてもらって、命の大切さや感動を体感してもらうアクアリウムにしたいと思います。
ご質問: 子どもたちの中には、特にわんぱくな男の子は、水槽の中の魚を捕まえて、潰してしまうことがあるかもしれません
三浦の回答: そのような経験も、子どもたちが命の大切さを実感する良い機会となるでしょう。かつて私は、蝶の収集に夢中になっていた時期がありました。ある日、私の住 んでいた街には生息するはずのない、珍しく美しい蝶が舞っていたのを見て、自分のコレクションに加えたいと思い、網でその蝶を捕まえました。
しかし、捕獲するときに網の縁にハネが当たってしまい、美しく輝いていたそのハネは、無残な姿となってしまいました。
自分のやってしまったことに、大きな後悔をしました。
それから、蝶を捕まえて標本にすることが出来なくなりました。
現在のアクアリウム制作につながる、小さな地球を創りたい、植物や生物が生きたまま、ストレスなく命を育み、そして身近に鑑賞できるものを創作したい、という想いのキッカケとなりました。
アクアズームのアクアリウムは、著しく破壊されることが無ければ、そのようなアクシデントにビクともしないシステムと生態系の自己回復能力を持っています。
ご質問: 魚やエビなどの生態が減ってしまった場合はどうしますか?
三浦の回答: アクアズームのアクアリウムでは、全ての生態系のバランスと共生を最重要テーマとして制作を行います。
一般的なアクアリウムでは、観賞魚となる生体や水草は、常にストレスを感じながら生きているため、徐々に個体数が減少していく傾向があります。
しかし、生態系のバランスと共生の調和が保たれたアクアリウムでは、それぞれの個体数は確実に増えていきます。例えば、最初に10匹入れたエビが50匹になったり、15匹入れたメダカが30匹になったり、と言うようにです。
また、繁殖が過剰になった場合は、必要な養分や食べ物がなくなる為、自然と抑制されます。
日々の餌やりの量や、調整水の追加など、ルールを守っていただくことで、結果的に手のかからないアクアリウムとなります。
もちろん、必要に応じてアクアリウム内の生態系に調和した個体を追加していきます。
[写真] 設置場所が決定しました。道路からも見えるとても良い位置です
佃島小学校からの帰り、学校の周りを少し見学しました。子どもたちが課外学習の一環で植えた葦もありました。
アクアズームのアクアリウムが、子どもたちにいのちの大切さや美しさ、優しさを伝えられるものとなる様、制作構想の再確認と本物のアクアリウムを創り上げようと決意を新たにしました。
2010/01/15 アクアズーム 三浦達雄のアクアリウム 創作水槽